「ねぇ、隆幸さん。踊りましょう?」

ダンスの曲が流れた。
俺と美咲は、真ん中に立った。

皆が俺達を見る。
構わなかった。

今は、ただ腹が立っていたから…

踊り始めると、美咲が言った。

「隆幸さん、私…とっても幸せよ」

「私もです」

嘘。
俺の幸せは、美姫と喧嘩してる時だ。

「隆幸さん、本当によろしかったの?」

「ええ。美姫様には…あの執事がお似合いです」

もう、俺は引き返せない。