「やだ若菜!お姉ちゃんにそんな顔しないで!!」
お姉ちゃんは『よよよ』と涙を流す…ふりをする。
「私さ…小説を出版社に持って行けなんてお願いはしなかったよね?」
「だってー…毎日がつまらなかったんでしょ?
若菜の小説すごく面白かったから、友達が働いている出版社に持って行ったら、
何かが起こるじゃないかって思ったの!」
そう淡々と話すお姉ちゃんに私はただただ呆れるしかなかった。
確かに出来た小説をお姉ちゃんに見せた時そう言った。
でも賞を取りたいという大きな野望を抱きたいと思うほど、
私はそこまで毎日にスリルを求めてなんかいなかった。
あくまで暇つぶし。
それなのにウチの馬鹿姉ときたら
変な期待を抱いてその小説を出版社に見せにいきやがった。
そしたら姉の予想は大当たり。
今や私は大ベストセラー作家になってしまった。

