《→翔目線》



忘れられていたなんて、ヒドいと思った。


彼女の泣き声が聞こえてくるまで。



「バカか、オレは。」



あの頃、笑ってくれた芹沢は、もう戻って来ないかもしれないのに。


それでも芹沢に近付いて、笑ってもらおうとふざけてみたり、いろいろ努力しているなんて。


それでも、取り戻したい。



『一緒に、小説書かない!?』




きえないで。


もう一度笑って。



「物語を、もう一度。」


部屋にある思い出の結晶を眺める。


タイトルは、



『フェアリーテイル』



芹沢が大っ嫌いって言った、ファンタジーの物語。