痛い。


ただただ、痛みが私を貫いていた。



『あなたは…!どうして…!!』



母親の声が遠い。


痛い。全身が痛い。



「ご…めんなさ…い。気をつけます…から、ゆる…してっ」



我ながら情けない声。


学校じゃ絶対こんな事言わないだろう。屁理屈こねて学園長にだって理事長にだって食い下がってみせる自信がある。


母はヒステリーを起こしているだけだ。自分の周りの評価だけを気にして。


いつもの事。だから、ほら、父だって何も言わないでテレビ見てる。


笑ってる。


一瞬、家の前で別れたばかりの海乃の綺麗な顔が頭をかすめた。


助けて、くれるだろうか。


この、牢獄から。



「叔母さん、いい加減にしてあげたらどうです?」


ゲロ甘ボイスが聞こえた。


相川だ。


今日はラッキーかも。こればかりは相川に感謝だ死んでも言わないけど。


『―っ。あ、あら来てたの?言ってくれれば、夕飯用意したのに。』


予想通り、母は私から目を逸らし相川の様子を伺った。


私はこの期に自室に逃げ込み閉じこもった。家具でドアを開かないようにする。


どうせ夕飯は、食べさせてくれないだろうから。