俺がハーバード大学に留学したとき、ミスタ・エリックはたったの28歳で助手の席についていた。

天才。


鬼才。


みんなが彼をそう称し、憧れた。


俺は短期留学生として、東大から来ていて、ちょっとある研究を手伝っていた。


その時、


彼に会った。



「あの時は極東人なのにキュートで有名だったね。」


「あなたこそ。うら若き天才医師だというふれこみでしたね。一部で単なる偶然だと陰口を言う人もいましたけど。」


「すべては必然だよ。私があの発想をおもいついたのも、それがたまたま当たったのも。」


「今は、桜翔大学の客員教授だそうですね。」


「まぁね。連れが日本にかえりたがったものだから。」


「連れ?」


「あ、言ってなかったね。私は上の特別寮に住んでるんだよ。連れも一緒に。」


「え!そうなんですか!?ていうか連れ…?」



嫌な予感がする。



「アマノ カケルだよ。君に化学を教えてもらってるって言ってたから、知っているんだろう?」