「良かった。あの家から出れたんだ。もう大丈夫だな。真希に何かあったのかと思った…」



状況を整理しよう。


現在、オレは物凄い複雑な気分を抱えている。


例えればずっと大事にしていた人形を盗られた気分。


なんていうか…たまらない。



「海乃!?」


「なに?」


「なにって、この状態…?」


「え…?」



今気付いた。オレは芹沢を相川先生から取り返して芹沢の腰に手を回している。


当然のごとくにらんでくる相川先生と対面している感じにいつの間にかなっていた。



「ま、俺も大人だ。今日は引き下がろう。また明日な。遅刻はするなよ真希、海乃。」



仕方なさそうにオレから目を逸らして相川先生は2階から出て行った。



「…海乃。私いつまでこのまま?」


「あ、あぁごめん。悪い。」


「べ、べつにいいけど。」



考えるより先に体が動いた。


芹沢を、とられたくない。


この気持ちって…



何だったんだろう?