「相川は…初めて会った時から変だったんだ。」

「どうしたの急に。」


「その、別に、なんの脈絡のない話だから、聞き流してくれてもいいんだけど…」



芹沢は顔をうつむかせているので、のぞき込んで目を合わせる。



「私が相川の存在を知ったのは、12歳のときで、あの人の結婚式で初めて会った…はずなんだけど…」



はず?


どういうことだろう。



「断片的にしか分からないの。なんか、記憶がノイズがかっていて、でも、相川が必死に話しかけてきたのは、覚えていて…その、だから、」


「わかったよ。相川先生は若くても相川先生だったんでしょ?」



しどろもどろになりながら、相川はいい奴だと芹沢は言いたかったのだろう。


ま、オレはあの先生が芹沢を本気で好きなのは知ってるけど。


これは本人には黙っとこう。



「相川先生といえば女子に頼りがいあるって人気高いよね。いいなぁ。オレもそうなりたいなぁ。」


「そうね。むしろ海乃と相川が入れ替わってくれていたら私も気が楽になるだろうしね。」


「え~ヒドいよぉ。それはないでしょ~?」