『じぃさま』の顔はくしゃくしゃで、どこが目なのか分からなかった。



『―ゴブリンの長が呪いを解かせた、とは聞いていたが随分とわしらを探すのが早いのぅ』


「長に聞いたんですよ。西に行けば会えると。」

『―それにしても早い。おや、そちらのお嬢さんは汚れがないな。これは珍しい。』


「汚れ?珍しい事なの?」


『―そちらの坊主が捕まってからは見てないの。なるほど。それでゴブリンは呪いを解いたか。』


ちょっと待っとれ、と言ってブラウニーは奥に入り木の棒を取り出した。


『―あのカタブツが解いたのだ。わしが解かんとする理由はない。』


「解いてくれるのね。」

『―そうしよう。人間は人間の村へと帰るべきだ。坊主、名はなんと言う?』



ヨセフはじぃさまをじっと見て、観察て、言った。(妖精には簡単に名乗ってはいけないのだ。)


「ヨセフです。」


『―ではヨセフ、手を出しなされ。』



アンはヨセフを見た。


ヨセフは小さなじぃさまの前に手を出す。



『―…ヨセフの故郷が彼を呼ぶように…』