☆〈翔〉☆


「しょう…―」


「あ…ま、きちゃ…。」


真希ちゃん。



「…ジュニア、この娘とお前には何があったんだ?」



再び意識を落とした芹沢に布団を被せたエリックは言語を英語に戻して聞いてきた。



「―芹沢は、昔はこんな表情が無い顔なんかじゃなくて、よく感情を顔に出す娘だった。」




『しょう!遊ぼ!』


『しょう!私ね、物語が好きなんだ!ゴブリンやシルキー、メロウ、バンシー…みんな空想の中の物だけど、それって素敵だと思わない?』





「オレが芹沢に会った当時から、芹沢は今の母親に同じ目に合わされていた。」


「!!そ、それは何年前の話なんだ!?」



そう。


すべてはオレ達の出会いからすでに始まっていた。


オレが離れた数年間、どれだけ芹沢は耐え続けたんだろう。



そう。


すべては。




「…7年前、オレが父さんと母さんと、この町に引っ越してきてから。」