じ、冗談!


そんなことしたら母さんが…!



「ってああ!母さん!帰らなきゃ!今何時!?」

「落ち着いて芹沢。君は『今泊まり込みで大学にいる』んだよ?」



そんな詭弁が通用する訳ないでしょ!


どうしよう!


今度こそタダじゃ済まされない…!



「落ち着くんだ。真希。君のママの事なら私に任せてくれ。それより、腕の火傷だ。普通なら腕が上げる事ができないぐらい痛むはずなんだ。」



そんなこと!?と声無き悲鳴を上げてしまった。

私には命に関わるかもしれないのに!



「芹沢、落ち着いて。深呼吸。」



海乃が私の背中を優しくさすった。



―大丈夫。すぐに痛くなくなるよ…―



まただ。


浮かんでは沈む記憶の中の声。


すぐっていつ?


いつになったら、あの人から逃げ出せる?


教えて。


助けて。



「しょう…―」



そうして私は、またも意識を手放した。