☆〈翔〉☆

「い…やっ!」


「芹沢!?」



芹沢は急に倒れた。


その顔にはただひたすらの恐怖。


初めての表情がこれなんて…



「芹沢!大丈夫!?芹沢!あーもー!」



考えるより先に体が動いた。


軽い芹沢の体を抱えて外に出る。


今の時間、保険医は帰ってしまっているだろう。

ならどこに行こう?


そう思いながらも、足は自宅の方向に向いていた。



「エリック!いるか!?」



息も絶え絶えにアパートの部屋に駆け込んで玄関に倒れ込み同居人の名前を叫んだ。



「どうしたジュニア!その子は?」



良かった。いた。



「急に倒れたんだ。無我夢中でさぁ…ここに…」

「わかった。診てやるから、こっちに運んでくれ。」


「ああ。わかった。」



エリックは聴診器引っ張り出して心臓の音を聞き、顔色を診て言った。



「PTSD…の、症状と似ているな。」


「PTSD…?」



「―心的障害―トラウマだったか、そんな日本語もあるな。」