「『フェアリーテイル』。あなたと、わ、私の名前…?」



蝶のシールがついた青いノート。


ゴブリン、ブラウニー、シルキー、バンシー、メロウ…


なにかが私をたたいてる。


何かが外に出たがっている。


何?



「…わからないなら、いいや。」



待って。


行かないで。


助けて。


出たい。


出して。


ここから、出して。


この気持ち。誰のだっけ…?



「ヨセフ…?」


「!?」



誰が連れ出してくれたんだっけ?



「アン。」


「芹沢?思い出したのか!?」



思い出す?


なにを。


私、おかしい。


おかしい。


いつから…?



「い…やっ!」



ぼたぼたと、落ちていくのは、私の涙か、それとも、記憶か。


海乃の声が遠くに聞きながら、私は気を失った。