しばらくはボケっとしていた2人だが直ぐに表情を引き締めて教室に入っていった。



狩野は席へ、


海乃はカバンをひっつかんで教室を出て走っていく。



そして俺はバカみたいに、それを黙って見送った。



それが俺に出来る最高の事だったから。


狩野には真希に起こっている事を細かく知らせていないが、とにかく真希は失明しかけていて、狩野を忘れているという事実だけで納得したらしい。



さすが、頭の回転は速い。



そして2時間目の始まりを告げるチャイムが鳴った。



俺はまた、失恋したわけだ。



伸ばされた手を、


とって、


別の男手を握らせた。



結局俺は、そんなお人好しだったわけだ。



それでもいい。


優しい、親戚のお兄さんを演じるのも悪くはない。





本当の彼女が泣かなくて済むのなら、





この身を捧げても構わないのだから。