「詳しく説明している暇はない。」




俺は狩野と海乃にそう言った。



2人とも真剣な顔をして俺を見ている。




「いいか、真希は今俺の部屋にいる。海乃のことを一切忘れて、だ。」




とたんに海乃の顔が歪んだが気にせずに話を続ける。


大体海乃がもうちょいしっかりしてたらこんなに面倒な事態にはならなかったはずだ。



狩野は狩野で訳が分からないらしく、?がたくさん飛び交っているみたいだ。




「俺が狩野に話すのは、狩野を仲間外れにするには、もう手遅れだとはんだんしたからだ。」




そう。


手遅れだ。


海乃を忘れてた真希。


そしてたぶん、狩野も忘れている。今朝確認した。



真希は自分に好意を持った人間を忘れていく。



嫌われるのを恐れて。




「このままじゃ真希は失明する。だが方法はある。しっかりしろ海乃。お前俺の部屋に行って真希に言いたい事いってこい。それから狩野、お前は真希と海乃のアナを埋めろ。


生徒会役員が3人もぬけると学校のシステムが崩れるからな。いいか?」



俺は海乃に俺の部屋のカギを、狩野に生徒会室のカギを押し付けた。