「芹沢の娘が失うのは片目だ。左は完全に残る。命の危険性があるわけじゃない。…つまり、ランクづけでいえば最下層だな。」
「じゃあ…」
「そうだ。手術は受けられないつっても過言じゃねぇらしい。」
最悪な結果だ。
どうしようもない。
頭の悪い俺でもさすがに事態の深刻さが分かる。
「…皮肉な事にな、芹沢の娘の目の病気の原因は実家で日常化していた虐待だそうだ。」
「ぎゃく…たい?」
まさか。そんな。
真希は、ずっと、ずっと、耐えてきたっていうのか。
俺は手で自分の顔を何度もこすった。
俺の好きな女の子。
見た瞬間から、引き寄せられた初めての子。
好きだった。
好きだった。
妹と知っても、諦められなかった。
「ま、こっからが男の正念場だ。どうするかはお前次第だ。俺は母さんを見てるから、そっちは心配すんな。」
父さんは俺の頭をポンポン叩いて部屋から出た。
そう。くずくずしている暇はない。
俺は携帯を手に取って、行動を起した―……



