「真希の…右目が?」


「治すには、角膜移植が必要なんだそうです。」



俺は呆然としている海乃を部屋に入れた。


というか、ほっといたら身投げでもしそうな勢いで、そのままにはしておけなかったし、なにより…



俺はまだ、真希に気持ちを残していて、真希の右目が見えなくなるという情報は聞き捨てならないことだった。



あきらめ悪いよな。俺って。




「網膜前黄斑線維症と、角膜潰瘍の併発だそうです。」


「網膜前黄斑…?大したもんじゃねぇだろそれ。」


「ええ…ですが、角膜潰瘍が問題なんだそうです。角膜白斑を起こしていて………」




海乃は思い詰めた表情で俺を見た。



いや、だから俺はそんな趣味無いぞー。




「どうしたらいいのかわからないんです。さっき、真希の父親を見掛けて、平和に暮らしてるのを見て、どうしても、どうしても冷静ではいられなかった!だって…だって…!!」


「おい海乃落ち着け。話が…」見えねぇ。




そういいかけた俺の言葉は、海乃が言ったセリフに刈り取られた。




「…あの人達のせいなのにっ…………!!!!!!!」