真希の場合、角膜白斑は角膜の弱体化によって起こったものらしい。


つまり…




「…弱った角膜は、移植するしか直す事は出来ないらしい。私も、眼科は扱った事がなくて…すまないジュニア。」


「どうして、角膜が弱体化を…?」


「おそらく、真希があの家にいた時に眼球を強打した事が原因らしい。つまり…外傷性のものだな。」


「また…あの家…」




ひとつひとつ、


確実に、真希から何かを奪っていくあの家。


芹沢の家。


オレはたぶん、始めて、



見ず知らずの恋人の親を殺したいと思った。




「ジュニア、Have A Hope!(希望を持て!)エルの名言じゃないか。キミがそんなのでどうする。」




わかってる。


わかってるエリック。


オレが一番、希望を捨てちゃいけないのも、真希を支えてやらなきゃいけない事もわかってる。



いつの間にか頬を濡らす熱い雫に気がついた。



『翔、強くなったね。』


なってない。強くなんかなってないよ真希。


俺は、昔の、泣き虫な『ショウ』のままなんだ。

キミとの約束も果たせない、


泣き虫な『ショウ』のままなんだ。