鉄仮面女。


それが生徒会長に就任してついた私のあだなだ。


「失礼します。先生、原稿出来ました。目を通しといてください。」


「仕事早いね、助かるよ真希。」


「ここは学校です。相川裕(アイカワ ユウ)先生。従兄弟でも、場をわきまえたほうが良いのでは?それから、苦情処理ぐらい、自分でなさって下さい。」



相川 裕は私の従兄弟にあたる人だ。桜翔で化学教師として働いている。

御歳25となっているが、少々軽い感じがする。女子生徒の間ではゲロ甘な顔にゲロ甘ボイスというふれこみで人気がある。

おかげで仕事が増えて仕方がない。


教師と本気で恋愛しようなんてバカな真似はやめて欲しいものだ。他のお堅い教師からの苦情処理が大変なのだ。



「だから言ってるじゃん。俺と付き合ってくれたら、建前も使えるし便利でしょ?」


「その突飛な発想が出来るのは先生の特技ですが、社会人としての責任を持った発言をして欲しいですね。」



いつもいつも、私が相川の始末書を書かされている。文句を言うと、すぐこれだ。


昔からこんな感じたが、最近ひどくなったと思うのは、私だけだろうか?


「俺は本気で言ってるんだよ真希。」



これもいつものパターン。


あなたが本気なわけあるもんか。