これ以上きょとんとされても困るから、あたしはおとなしく着替えを始めた。


日曜日に、わざわざ検査のために、しかも客員教授(一応世界的権威)が診るなんて、またとない機会だ。



着替えながら、あたしはこのまえ訪ねて来た母を思い出した。


あれから、あの人はあの寮へは来ていない。


あたしは、香坂先輩を避けるようになった。


何だか気まずいし…急にあんな…『セ・ラ・ヴィ』のリーダーが兄だなんて実感がわかない。




「着替え終わりましたよー。」




ガチャッと、あたしは鉄製の重い分厚い扉を開けた。


検査室には技師が1人と、機械の操作室にエリックと翔。あと、初老の男性(白衣着てる…医者かな?)がいた。



エリックはあたしに気付くと、ガラス越しに手を振った。


手元にあるスイッチらしきものを押して、マイクで話しかける。




「女性なのにマキは着替えるの早いね。検査はそっちの技師に従って。」