1000年前、
クライスト王国の初代の王は、一人息子の王子を守護する為に巫女をそばにつけた。
巫女は妖精貴族、ルナ・フェアリー家の姫と、王の弟との子供。
巫女の魔力は絶大で、あらゆる妖精から王子を守った。
『―ルナ・フェアリー家は人間と妖精との混血種の中でも王家に次ぐほどの魔力をもつ。その娘と王家の者から生まれた娘が、絶大な魔力をもつもこれ必然というもの。ただ…―』
アンバーはそこで言葉を途切れさせる。
アンバーの住家は至って人間の家に近く、違う所と言えばあちこちに琥珀が落ちている事だった。
アンは必死で話を理解しようと努め、ヨセフは不機嫌を直していない。
「ただ、なんなんだ?」
『―18年前、サラージュとレイナールは自分達の子供がいつか巫女に担ぎ上げられる事を恐れて、逃亡した。―』
「どうして…わたしが巫女だといけないの?」
『―アン、巫女は…1000年前の巫女は、ある魔術師の手によって殺された。―』
巫女の魔力を恐れた、その魔術師によって、
巫女であり、第1王妃であるソフィア・アッシュ・ルナ・クライスト・フェアリーは、殺さた。
『―魔術師はまだ生きている。そして、奴は恐れている。巫女の再来、つまり、アンの存在を。奴は巫女に対抗する為に幽霊狩りを組織し、妖精を誘拐し魔力を直接吸い取っている。長年生きていたせいか魔力が衰えているらしい…これが、巫女たるそなたの出生と、いま妖精を脅かしている秘密のすべてだ。―』



