「バンシーってどんな妖精なの?」


「少女の姿をしていて、よく泣くんだ。」


「どうして?悲しいの?」


「たぶん…わかんないけど、悲しいのかもね。」



アンとヨセフは湖を目指して森を歩いていた。


シルキーの所から出発してもう半日がすぎようとしている。



きっとこのまま野宿ね!なんて素敵なのかしら!わくわくする!



アンの頭は冒険についてでいっぱいで、さっきアンに王族の血が通っているとわかった事はそっちのけだった。


ヨセフはヨセフで、別の事を考えていたから、2人はあまり話こまずに無言で森を進んでいた。





ガサッ…!





と急に遠くで音がした。


2人ともびっくりして、固まってしまう。




ガサッガサッガサッ…!



「歩いているみたいな音ね…人間?」


「そうだね。妖精は足音なんてたてないし。」


「そもそも妖精は飛べるしね。」




こそこそ声で2人は話す。



すると、





「おーい!いた!いぃ女がいるぜぇ!」