★真希★



怖い。



怖い怖い怖い怖い怖い。


醜い。



黒い感情が、ドロドロあたしを絡めとる。



哀しい気持ちが押し寄せて、涙が止まらない。



どうしよう。


どうしたらいい?


何をすれば正解で、


何をすれば間違いなの?


あたしに、何を期待しているの?




あたしは学校への道のりを走る。


止まらずに、


泣きながら。



哀しい。



幸せなあの人を見て、


哀しい。



憎い。



あたしはなんて醜いんだろう。


なんてあさましい。




「ちょっ、かいちょ…!?危ないって!」




突然聞こえた声と同時にもといた場所に引き戻された。



瞬間。



ついさっきまであたしの足があった場所に、車のタイヤが通り過ぎた。



さすがにこれにはゾッとしたけど、今この泣き顔を声の主に見られる訳にはいかない。



あたしは相手の顔を見ずに、




「助けてくれてありがとうごさいます。それでは。」




そう言って、また走り出した。