「あれ、先生。遅いねぇ。」


「ぶぁっか!海乃が早いんだろ?で?なんでうちの従兄弟と一緒に登校してるの?できちゃったわけ?」


「コンビニで、ばったり会っただけですよぉ。朝ご飯食べてないんだよな?」


「…うん。」



『うん。』!?『はい。』じゃなくて『うん。』!!??


世紀の大発見だ。きっと今日は午後から雷が落ちる。ひょっとしたら人類が滅亡するかも!



「真希…?お、お前どうしたんだよ。」


「相川先生、職員会議遅れますよ。いいんですか?」


「俺は非常勤講師だから関係ねぇよ。それより腕、痛くないのか?」



俺が昨日一瞬見ただけでも、紅茶と言う名の熱湯を腕にかけられていて、ひどい火傷を負っていた。


そもそも伯母がヒステリーを起こすのは昔からだったが、真希という不安定要素が気に入らないのと、再婚する相手に連れ子がいると自分の評価が下がると思っているフシがある。



「別に。教室に早く行きたいんですけど、もう失礼しても?」


「そうか。わかった。」

「海乃、行こう。」


「う、うん。」



てくてくと真希の後を海乃がついて行く。


と、海乃が一瞬こっちを見た。気がした。


女にしか見えないあいつの顔が、物欲しげに俺を見ていた気がした。


おいおい、俺は女専門だぞ…。