★真希★


いつもの時間、家から翔と外に出た。




「真希…?」




でもいつもと違ったのは、知らない女の人に声をかけられたこと。



40代後半ぐらい。


セミロングの茶色の髪。

はかなげな、頼りない感じの。




「どちらさまですか?」



半分もう分かっているのに、あたしは尋ねた。



あたしを置いて行ったくせに。


あたしがどんな目にあうか知ってて、捨てたくせに。


今更、何しに来たの?




「真希…あなたの…お母さんよ…」


「あたしの母親は死にました。なんの冗談でしょうか。」


「おい、真希…」




翔の制止も気にとめなかった。


嫌い。


あたしを捨てたくせに。

なにを言いに来たの?



もしかして、


許してほしいの?



まさか、




あたしをいらないと言ったのは、あなたでしょ?