☆翔☆




「どうしたんだいジュニア。今日は随分機嫌がいいね。」


「まぁ、ね。」


「マキとうまくいったみたいだな。」


「なぜそれを!?」


「エルが昔カナとうまくいったとき、よく言ってたんだよ。『まぁ、ね。』てね。なんて素晴らしい遺伝。いいサンプルだ。」


「人を勝手にサンプルにしないでよ…」


「よし、今日はお祝いにディナーにトマト入れよう。」


「それはヤメテ!」




トマトは苦手だ。


昔芹沢に無理矢理口に入れられた事がトラウマだ。




「…っていう冗談はさておき、マキの検査なんだけど、日曜日でいいかな?」


「うーん、どうかな。オレには分かんない。」




長い期間虐待を受けてきた芹沢にはバタード・チャイルド・シンドロームなるモノの疑いがかかっている。


それを診断するには、精密検査が必要らしい。




「…男がそろってキッチンに立ってるなんて不思議ね。」




急に芹沢がキッチンに現われて焦った。


話を聞かれても別に支障はないだろうが、なんか焦った。


きっと芹沢は意地を張って検査を受けないような気がしたから。