「ま、好きな人にこっち向いてもらえるかと思って始めた女遊びでしたけど、案外楽しいし。」


「根っからの遊び気質か。なんというメタモルフォーゼ。」


「うるさいですよ先生。……でもま、このまま引き下がるのはちょっとカッコわりぃから、舞台に上がってみますよ。」


「あくまで、健全にな。」




狩野は端整な顔に笑みを浮かべ、優雅に去って行った。



まったく、


これでよかったのかよくなかったのか、俺には分からない。


俺はあの2人が階段を上がったのかもういなくなった踊り場を見上げた。


夕陽が差し込んでいて、眩しい。



どっちにしたって、あのまま引き下がれるほど淡い恋心じゃなかっただろうから、結局はアプローチするつもりだったんだろうけど。




「幸運を祈る。真希。」



相手は百戦錬磨のバージンブレイカー狩野 正春だぞ。