★真希★



今朝の事件のせいで散々だった。


海乃はうるさいし、狩野はうっとおしいし。


少しは日下部を見習え。



「用件は、早急に済ませてください。仕事がたまっているので。」




…それをいうなら、この男も、か。



誰にも話を聞かれない所がいいという要求を満たすために、私は香坂先輩を生徒会長室に入れるハメになっている。


先輩じゃなかったらぶん殴ってるかも。


もしくは、ピアスとネックレスとミサンガを没収しネクタイを無理矢理貸し出しワイシャツの中に来ているハデなTシャツを体操服に変えてしまうか。


『セ・ラ・ヴィ』がゆえにそれが許されない訳だけど。




「芹沢さんのさ、お母さんって元気?」


「…さぁ?出て行った人の事なんて知りません。」




冗談じゃなく、本気で覚えてない。


顔すら分からない。


もし町の中で出会っても、分からないくらいに。



「…会いたくない?お母さんに。」


「死んでるか生きてるかも分からない人に、会いたいもへったくれもないのでは?」




この人は、なんでこんな話をするんだろう。


いやだ。


この人、怖い。
















「君の母親はね、今、俺の母親なんだよ。」