「あー、とにかく、『バージンブレイカー』が鉄仮面女狙ってるって事っスよね？」




ナイス哲。


哲はいつもよく気が利く。


奏とは大違い。




「まぁ、そういうこと。」


「でもさぁ、それ何の根拠があるわけ相川ならまだ噂があるけどさぁ？」

「相川は噂じゃなくてホントだ。根拠はな、アレが独り言で言ってたのを聞いたことがあんだよ。」


「俺、同じクラスっスけど、そんなこと聞いたことないっす。よく海乃といますけど…」


「本命を落とせなきゃ、そんなこと意味ないんだよな…って言ったのだったら聞いたことありますけど？」




カズマが口を挟んできた。珍しい。こいつはいつもこんな話には不参加なのに。




「わかってねぇなぁお前ら。あいつが名前で呼ばない女なんて、芹沢さんくらいだぜ？」


「いや沙門、アレを女と見るのが前提な訳？」


「女の子でしょ、どうみたって。」


「生物学上は、っていうのが抜けてるよ。」




どいつもこいつも、俺の想い人をバカにすんなよ…



でも…芹沢さん、君は、俺を、許せる？


君から、君のお母さんを奪った、俺を、


君は、許してくれるだろうか…？