海乃の悲鳴に近い声が私の耳に入った。
ていうか私何してんだろ…
なんで香坂先輩とキスなんて…
「きゃああああ!沙門様っ!」
「なんで鉄仮面女なんかと!?」
「ツンデレ好きとか!?」
「そんなぁ、沙門様ぁ~…」
思考が追い付かない。
てかいつまでしてなきゃいけないんだ。
私は香坂先輩の身体を突き放そうと力を込めるが逆に力を入れられますます放れなくなった。
「んっ…せん…ぱ…ぷはっ、何するんですか!」
「なにって…ちゅーだけど?」
「ちゅーだけど?じゃ、ありませんっ!公然の場で何してくれたんですかっ!?」
「てか芹沢さん怒るポイント間違ってない?」
「そんな事言うならどこをどう怒れば正解なんですかっ!?」
「普通の女子高校生は『あたしのこと好きでもないのにキスするなんて許せないっ!』って怒るよ?」
「普通でなくて悪かったですねっ!」
この押し問答は完全登校時刻まで続き、なぜか『芹沢 真希はツンデレだ』という根も葉もない噂がたった。



