聖宮先輩は颯爽と校舎の中へ去って行った。
「単に今日は気が向いただけなんだろうね。聖宮先輩。」
「会長…労災降りますかぁ?これ。」
「降りるわけないでしょ。早く風紀チェックの続きしなさい。香坂先輩も校舎の中に入ってください。」
「俺は芹沢さんに話があるんだけど?」
「後でいくらでも聞いてあげますから、中に入ってください。」
『セ・ラ・ヴィ』のリーダーの話なんか聞きたくもないけど、仕方がない。
「えー、今じゃないとダメなんだけど?」
私は無視を決め込み風紀チェックを続ける。
海乃は主に男子をつかまえ始めた。
私がやるよりは効率がいい。反抗されないし。
私は女子を中心に注意を始めた。
もちろん、違反品は没収。
メイク用品、プリクラ、マンガ、お菓子。
その様子を、香坂先輩はずっと私のすぐ後ろで見ていた。
…落ち着かない。
「先輩、中に入ってはくれませんか。」
「んー、じゃあ芹沢さんがこっち向いてくれたらいいよ。」
何考えてんだこの人。
全く意味の分からないまま香坂先輩の方を向いた。
「せ、芹沢っ…!?」



