「アンが、王族の血を!?そんなバカな!家系図には…!」


『―しかし王子、その剣は、王族の血を引く数多の子供の中でもより濃い血を引いていなければ見えぬ物。


王子、そなたの様にな。―』


「え…わたしに、王族の血が…?」




話が突飛しすぎて分からない。



わたしはただの村娘なはずだ。目は淡い緑色だし、髪の色は濃いブラウン。


そんな高貴な血が流れているはずがない。




『―長年王族に仕えてきて、そなたの様な人間をわらわは見たことがない。


そうだ、次の呪いはバンシーだったな?―』


「そうですね。次はバンシーだ。」


『―かのバンシーはそなたら王族の創設以来ずっと仕えてきたはず。


そのバンシーなら、アンのことが分かるやも知れぬが…―』




ヨセフはシルキーが言葉を濁した事に不信感を覚えたが、ほかにも気になる事が多すぎて、追求する事はできなかった。



いったい、どういうことだ?


なぜ、王族の血を引く者が小さな村にいる?




『―バンシーはこの森を真っ直ぐ進み、抜ければ湖がある。


そこにいるはずだ。


姿は人間の少女だが、もうすでに1000年を超えるほど生きておる。


気難しいぞ。―』


「分かりました。どうもありがとう。」




ヨセフはさすがに王族の血を自分が引いていると言われて呆然としているアンによりそって歩き始めた。


腰にはシルキーに返してもらった義務の剣を携えて。


バンシーの湖を目指した。




《フェアリーテイルより抜粋》