空中に投げ出した太ももで男の顔をガッツリ挟み込む。

男は一瞬あっけに取られたようだが、すぐに熱い息をあたしのデリケートゾーンにこもらせた。

(色気だしてんじゃねーぞ!このブサイクが)

あたしはその場でバク転するように思い切り仰け反ると、体重に遠心力を加える。
瞬間、首を引っこ抜くように力を込めると男の足はあっけなく床を離れた。


タイミングさえ合えば、大の男でも宙を舞う──

しゃちほこのように反り返ったまま回転するあたしの体。

そして空中で弧を描く男は速度を増した。

一瞬早く、伏せるように上体を着地させたあたしは、振り下ろす足に一層の力を込める。

次の瞬間、激しい衝撃が体を伝い、さらにガラスを割るカン高い音が耳に突き刺さった。

(やば!)

男は真っ逆さまにガラステーブルを突き破ると頭を床に打ちつけて、そのまま脱力したように破片の中に崩れ落ちた。