あなたの後ろで

なんだかすごく怖くて、怖くて、いつもの利樹じゃないみたいで、ぎゅうっと目をつむった。

利樹の顔がだんだん近づいてきて、止まった。

「ごめん。あせってるな、俺。変だ。ホントにゴメン。もう、泣くなよ・・・」

「え?」

そういえば目がぬれていた。

目をこするとかすかに手がぬれていた。

「じゃあ、学校行くか!」

なんだろう。どこかがっかりしてる自分がいる。

キスされそうになった。

ううん。したかったのかも知れない。

止まったままのあたしに利樹が、

「どうした?」

「ううん!」

そうきいたので、そういうしかなかった。