いつものようにカズを見送った後、しばらく走っていると、道の先から女の子が歩いてきていた。





薄紫のパーカーに少し色落ちしたデニムを履いたその女の子は、紛れも無くフウカであった。





僕は自転車を停め話しかけた。





「やぁ、久しぶり。」





フウカは僕と自転車を交互に見て、それからニコッと微笑んだ。





「今日、入学式だっけ?」





僕は頷いて、ずっと心にひっかかっていた疑問をぶつけた。





「フウカは学校…」





僕は言いかけた言葉を途中で止めた。





フウカの澄んだ瞳から流れるものを確認したからだ。