「そうなんだ。僕、浅野優、みんなからはユウタって呼ばれてる。」





すると彼女はゴホンと咳ばらいをし答えた。





「あたし一色風香。ユウタとフウカって似てない?」





「たしかに。」





僕達は顔を見合わせ笑った。





「あたしのことはフウカでいいから。よろしくね、ユウタ。」





そう言ってフウカが手を差し出す。





「こちらこそよろしく、フウカ。」





僕は喜んで差し出された手を握り、握手を交わした。





「あたしもう行かなくっちゃ。またね、ユウタ。」





結局、フウカがどこの科なのかも、高校に受かったのかどうかも聞けぬまま、握手をした時の手の温もりだけを戦利品として持ち帰ってきたのだ。





しかし、フウカは僕の想像していたフウカとは全く逆のタイプだった。





雨がふりしきる中、傘もささずに立ち尽くしていた姿からは想像できないほど、明るく、そしてなによりかわいかった。





気分はすっかり高揚し、高校生活を最高なコンディションで迎えることができそうだった。