全く悪びれる様子もなくにこにことしながら王は仕事へ戻って行った。
私も、重い足を引きずるようにして自室へ向かった。
確かに、ずっと近衛騎士団に入るのは夢だった。
それは王も知っていたことだった。
しかし、入ることは諦めていた。
今の歳は、16
家をでて一年、城の前でとうとう力尽きた5歳のあのときから今まで11年間、王は大切に育ててくれた。
そんな彼に、迷惑を益々かけるようなことは本当はしたくなかったのだが……
とにかく私は暗かった。
城通いのメイドや執事がさけて通るほどに暗かった。
やっと自室についたときに、扉を開けずに部屋に入ろうとして顔面を強打するほどにだ。
「あの魔法授業の時の顔、ダメだって意味じゃなかったのね……?」
.
