カルエリスが闇に染まり、宿舎も静寂に包まれている中、月に照らされる部屋が一つあった。
コンコン
ノックの音に部屋の主が目を覚ます様子はなかったのだが、無用心なことに鍵をかけ忘れられた扉が開く。
「−−−ソラ?」
訪ねた男は首を傾げた。
いつの間にか愛おしくて、側にいてほしくなった存在の彼女は、ここまで無用心ではなかったはずだ。
もしやなにかあったのかと焦りが彼を襲い、咄嗟に部屋へ入る。
……しかし、中に彼女はいた。
質素で生活感のない部屋にぽつりと置かれたテーブル。
そこに伏せて眠るのが彼女……ソラだった。
「ソラ?」
また声をかけると眉を寄せたが、眠りから覚めることはなかった。
よく見れば頬には一筋の渇いた涙の跡があった。
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