「さよなら」

あ…また言われた。

レトロな喫茶店。

いつか来た騒がしい居酒屋とは違った。

静かというわけではないのに私たちの話を集中させてくれる店内は、彼と私の絶好の場所のはずだった。

「別れてくれへんか。」

彼に言われた一言は、私にあまり喪失感を与えなかった。

あ、やっぱりか。

の繰り返し。

それでもいい。

それでもいいから、私は誰かの温もりが欲しかった。