「……ごめんなさい」




あたしが俯きながらそう言うと、舜はあたしの頭を優しく撫でた。




「どこ行きたいんだよ?服買いに来たんだろ?」

「……え…あ、うん」

「早く行くぞ」




自分がこんな人気(ひとけ)のない所に連れてきたのに、早くしろって顔してあたしを見る舜。



でも、本当にここに連れてきてくれたのは、


恥ずかしくて顔が真っ赤になってたあたしを、落ち着かせるためだって、あたしは分かってる。



だから、あたしの右手をギュッと握ってくれた舜の左手をギュッと握り返した。



洋服が売ってるお店がたくさん並んでる場所を歩いてたあたしたちは、


ピンクで彩られてる可愛い洋服のお店に入った。




「…ねぇ、舜」

「何?」

「ありがと、ね」

「…何がだよ」

「と、とにかく、ありがと」




分かんないフリをしてるのか、本当に分かんないのかは分かんないけど……。



お礼は言っておきたいって思った。



.