『お嬢様次第です。』
あなたはきっと…
もうすぐ僕の元から居なくなります。
その時まで、僕はこの思いをあなたに伝えることはないでしょう…。
「それは、教えてくれるって事?」
『さあ、どうでしょう?』
「ベルってイジワルなのね。」
腕を組み、ベルを見上げるお嬢様は、少し驚いていました。
『そうですか?』
「そうよ?だって私がここへ来たときは、もっと優しかったもの!」
『ふふ、それは失礼致しました。』
ティンク様に気持ちを悟られまいと、無理矢理自分を抑えているのだから、仕方ないですよ。
ベルはお嬢様の目が、自分に向いていないのを確認すると、少し切ない顔でゆっくりと静かに深呼吸をしました。
その後もお嬢様は、なぜかホテルには入らず、ベルの隣でずっと話していました。
ベルはそんなお嬢様の行動が、苦しくもあり、嬉しくもありました。
このまま時が止まってくれたなら、ベルは何度もそう思いました。