名前も知らない、綺麗なその女性に一瞬にして心を奪われてしまったのです。


その気持ちが恋だと気づくまで、そう長くは掛かりませんでした。


彼女を思い出せば、胸がドキドキし
お客様が通れば、彼女じゃないかと思ってしまう。


ベルは叶うかわからない人に恋をしてしまったのです。
でも、もしかしたら叶うかもしれない。


ベルがそんな事を思いながら、ドアを開けた時


「ありがとう!」


お嬢様がでてきたのです。
お嬢様は、入らしたお客様とすれ違い様に出て行かれました。


名前すら聞けず、彼女が去っていくのを目で追い、姿が見えなくなっても尚彼女が去った場所を眺めて居たのです。