ベルは、自分から聞くのをやめようと決めたばかりでしたが、否定した理由が気になって仕方ありませんでした。


こんなドアベルマンをお嬢様が好きになるはずがないと思っていても
頭の片隅で、何か理由があるのかもしれない!
と考えてしまうのでした。




「ベル?」


『はい、なんでしょう?』


再びお嬢様に声を掛けられ、ピクリと動く心のトゲはまた少し深くなりました。


お嬢様は先ほどの話には触れず「ベルは、好きな人とかいるの?」と聞いてきました。


返事に困ったベルは
『…どうなんでしょうね』と答えを濁し、優しい笑みをお嬢様に向けました。


ティンク様にいると言ったら、あなたはきっと誰かと聞いてくるでしょう。
その時僕が、『それはあなたです。』と答えたら、あなたはなんて返してきますか?


きっと…冗談としか思わないはずです。



「それは、いるって事?」


『ご想像にお任せ致します。』


ベルがそう言うと、お嬢様は納得がいかない!といいたげな顔をしていました。


「どうしても答えてくれないの?」