しばらくして、鐘の音が止むと、再びベルは暇になってしまいました。


お嬢様は昨日の男性と一緒なのだろうか?


ふとそんなことを思いました。



お嬢様がホテルに入って、出てくるのは大抵空が藍色に変わった頃。
その時間帯を避け仕事に付くことが出来たら…


そんなことを考えてはみたものの、許可が下りる訳がない。
そう判断しあっさり却下してしまいました。


これから明日までどうやって過ごそう…
10年近くもドアの前に立っていたせいか、遊び方をすっかり忘れてしまったベルには、この静寂とはお友達になれそうにないと思っていました。



テレビを点けては見たものの、おもしろいとまではいかず、すぐに消してしまいました。


冷蔵庫を明け、中を覗くと、食べかけのチーズにビールが一本。


食事は食べる分だけを買うか、ホテル内のレストランで食べていたので、買いに行かざるおえない状況になってしまったのです。


それでも暇になるよりはましだと、寝間着を脱ぐと着なれない服に袖を通し、玄関の扉を開けました。