『私の代わりは誰が勤めるんですか?』


そうね…》


困ったと言いたそうな声の後、従業員は
《ベルが居ないんじゃ、失礼だけど今日だけお客様に、ご自分で開けるようお願いするわ。》
と言ってきました。


ベルは、自分の代わりはたくさん居る。
1日くらい休んだって大丈夫だろう。
そう思っていたので、驚きました。


『…そうですか。』


ベルは内心全て嘘だと明かして、仕事に行こう!
と考えましたが、従業員の《ゆっくり休んで、また元気な顔を見せてね?
みんなベルの事待ってるから!》の言葉に、事実を明かすタイミングを失ってしまい、結局仕事を休んでしまいました。



リンッ…
受話器を下ろした時に鳴る小さ音が、ベルを現実へ引き戻しました。


僕は何をしてるんだろう…あんなに心配してくれていたのに…
嘘をつくなんて。


『ティンク様は、今頃ホテルに入らした頃か…』


薄暗い部屋の中、頭から被ったままの毛布をはぎ取ると、ベッドに投げ捨てた。


今日1日どうやって過ごそう。
嘘を付いて休んだ以上、外には出る事は出来ない。