携帯のサブディスプレイをチラ見。七時半である。

いくら待っても、夢から覚める気配はない。昨日はお風呂から出てすぐに寝た。だから睡眠は十分である。

私は高まる意識、覚醒した理性を認識した。仕方ない。私は正気で、さらに夢も見ていないようだ。たぶん。私は立ち上がる。まずはこの状況を受け入れねば。床はフローリング。少し冷たい。歩いてみる。みしみしと小さな足音。

扉はない。窓もない。密室である。部屋は正方形だった。いや、三次元だから立方体と言うべきか。

縦横高さ、全て長さ3メートルといったところか。普通の部屋に比べて天井は高く、広々とした印象である。

天井に電灯は見当らない。しかし、不思議に部屋の中は明るい。蛍光灯の明るさ程度の光で部屋は満ちている。

どこかから空気が循環しているのか、息苦しくはない。

また、コンセントやスイッチ類はない。

というか、何もなかった。部屋には何もない。白い壁紙以外に目につくものは一切ない。

画鋲を刺した後さえ、なかったのだ。