「私ね、絵が好きで描いてただけなの。

皆に迷惑かけるために描いてたんじゃない。

だから、あれ以来、絵描いてないんだ。

また何かが狂ってしまいそうで。

もうそういうドロドロしたのは嫌だから」




「ミツキ様らしいですね」

「そうかな」

「はい」



私はしばらく目を閉じて、深く深呼吸した。


夏の香りがする。


大好きなタロちゃんの香りも。



ゆっくり目を開け、隣を見ると、タロちゃんはまだ私を見つめ続けていた。



「タロちゃん、恥ずかしいよ・・・」