～近藤ｓｉｄｅ～



俺は綾乃とデートをしていた。



綾乃はデートの時は嬉しそうに笑う。



けど、たまに空を見上げて、悲しげな顔をするんだ。



海にドライブで来ていた俺達。



俺は見逃さなかった。



海を見ながら、綾乃の目から一粒の涙が零れていた。



「綾？」



綾乃はその涙を拭って、俺の方を見た。



それも笑顔で。



「何？」



「寒くないか？」



「うん、大丈夫。」



綾乃はこの海を見て何を思い出しているのだろう。



やっぱり市川の事・・・なのか？



綾乃・・・？



今でもお前は、市川の事が好きなのか？