らぶ☆すとーりー 2

「綾乃!」



隼人はなりふり構わずグラウンドに飛び出した。



誰よりも綾乃ちゃんの元へ走るのが速かったと思う。



「綾乃!綾乃!!」



そう言って、隼人は綾乃ちゃんを抱き上げ、テントの下まで行ってしまった。



この瞬間、私は綾乃ちゃんには勝てないと思った。



会社では私情を挟まない隼人。



私と付き合ってた時でも、あんな顔を見た事はない。



何があっても、会社ではただの同僚を演じていた。



しかし、今の隼人は違う。



誰が聞いているかも分からないこの運動会で、



綾乃ちゃんの事を「綾乃!」と読んでしまったのだから。



そして、私の手元に一枚の紙が落ちていた。



白い紙には



『好きな人』



の文字。



すぐにさっきの借り物競争の時の紙だと私は気づいた。



「隼人の嘘つき。」



そう言って、私はグラウンドを後にした。




~彩菜side終わり~