「でも。それ、でもメイは泣きごと言わずに、
ここまで頑張ってきたじゃないか」


お父さんの目から一粒の涙が落ちた。


「メイはみんなから祝福されていいんだよ」


その言葉に

お父さんの優しさに

思わずあたしまで涙を流してしまう。


「恥ずかしくて今まで言えなかったけど。
お父さんはメイのお父さんで本当に良かったよ。
僕の、僕達の子供でいてくれて本当にありがとう」


「おとう、さん」


あたしも今まで言えなかった。


「あたしも。お父さんの娘で本当に良かった。
今更だけど。本当にありがとう」


もう涙で視界がよく見えない。


せっかくのしてもらったお化粧もきっともう台無し。


でも


「さぁみんなが待ってるよ」


お父さんがあたしの涙をぬぐい、二人で車を出る。


「ここ・・」


周りの景色を見て驚いた。


一面のお花畑。


右にも左にも綺麗なお花が咲いている。


そしてここは


あたしと想が昔よく来ていたところだった。


「覚えてるかい?」

「うん」

忘れるわけない。


だって小さい頃、想があたしに
プロポーズしてくれた場所だったから。


想はきっと覚えてないかもしれないけれど。