あの日と変わらない笑顔のその人は
ベンチから立ち上がると私の方へと向かってきた。
どうする?
逃げる?
逃げるなんて、この私ができるわけない。
それに
あまりの突然のことで
体が動かない。
「元気?」
3か月振りに会うその人は
そう言うと、私の頭を優しく撫でてきた。
「元気・・じゃない」
ずっと想っていたの。
あなたの事を考えすぎて
どうにかなちゃいそうだったの。
あなたはそんなこと
ないだろうけど。
「ずっと、君に会いたかったんだ。」
突然でた言葉に
うつむいていた顔を上げてしまう。
「またそんな事」
奥さんがいるくせに。
「やめて下さい。私、愛人なんかになるつもりないですから」


